主日礼拝 | 「聖霊のバプテスマ」 | 2020年7月5日 松下 信 牧師 |
使徒の働き 11章1~18節 | ||
Ⅰ.非難されたペテロ(異邦人と一緒に食事) ペテロがエルサレムに上って行った時、割礼を受けている者たちがペテロを非難し ました。割礼を受けた者たちとは、キリスト者でありながら、ユダヤ教的色彩の特に 強い人々であり、律法やユダヤ教の規定を遵守することに熱心な人々(ユダヤ主義 者)でありました。彼らがペテロを非難した理由は、異邦人が聖霊を受けたことでも、 彼らにバプテスマを授けたことでもなく、ペテロが割礼のない人々のところに行って、 彼らと一緒に食事をしたこと(3節)でありました。律法やユダヤ教の規定を遵守する ことに熱心な人々にとって、異邦人と食事を共にすることが、いかに重大な問題を含 んでいたかがわかります。 Ⅱ.ユダヤ人から 付き合いを拒否されていた異邦人 イスラエルは原則として異邦人を大切な家族のように取り扱ってきました。しかし、 イスラエルが神との契約から離れ、異教の汚れに染まった時、神はバビロン捕囚に よってイスラエルを罰せられました。バビロンからの帰還後、イスラエルは自分たち の罪の原因を確認し、再び諸国の異邦的教えに汚されないように、異邦人との交流 を断つことを決めました。そして、イエス・キリストの時代には「異邦人」は、軽蔑と 嘲笑を表わす言葉となっていました(マタイ10:5-6、18:17参照)。 Ⅲ.聖霊のバプテスマを授けられた異邦人 聖霊の導きによってコルネリウスの家を訪問したペテロは、彼とその家族に対して 福音を語りました。ペテロが話している途中、コルネリウスとその家族の上に聖霊が 下りました。ペンテコステの日にエルサレムにとどまって祈っていた120人ほどの 弟子たちの上に聖霊が下ったと同じように、異邦人の上にも聖霊が下ったのです。 復活の主は、弟子たちに聖霊のバプテスマが授けられること(使徒1:4-5)を預言 されました。この預言は、すでにペンテコステの日に成就していました。しかし、その 聖霊のバプテスマを授けられる者の中に、異邦人も含まれていることを改めて教え られ、ペテロは、そのことを現実に確認しました。このコルネリウスとその家の者た ち全員にもたらされた聖霊降臨の出来事は、初代教会の主イエス・キリストのことば に対する理解を正される、画期的な出来事でありました。激しくペテロを非難してい たユダヤ主義者たちも、ペテロが異邦人のところに行き、彼らと一緒に食事をした ことが、主のみこころであることを知った時(17節)、これ以上何も言えず、沈黙する だけでありました(18節)。 【 結 論 】 百人隊長を救いに導かれたのは聖霊なる神のみわざであります。ペテロは神の器 に過ぎませんでした。異邦人を救いに導き、彼らに聖霊のバプテスマを授けられたの は、聖霊なる神のみわざでありました。ペテロは祈りの中で「神がきよめた物を、あな たがきよくないと言ってはならない」(使徒10:15)との神の教訓を学び、聖霊の導き の中で異邦人を救いに導きました。エルサレム教会会議においても、彼はこの教訓 を用いて律法主義、ユダヤ主義からの決別を宣言しました。このようにして、初代教 会は既存の価値観からの転換と共に、異邦人伝道という新しい道へと踏み出していく のです。 |