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主日礼拝 「さあ、出発だ!」 2022年2月6日

 松下 信 牧師
使途の働き 15章 36~41節
Ⅰ.パウロとバルナバの議論
 エルサレム会議のあと、パウロとバルナバはアンティオキア教会で福音を宣べ伝えていま
した。ある日、パウロは第一回伝道旅行において訪問した町々を、再訪問したいとバルナバ
に提案しました。しかし、ここにひとつの問題がありました。バルナバは第二回伝道旅行に
マルコと呼ばれるヨハネを一緒に連れて 行くつもりでいたのですが、パウロはそのように
考えていませんでした。こうして激しい議論になり、その結果互いに別行動をとることにな
りました。
 パウロとバルナバの間に生じた争いは、教理上の違いによるものではありませんでした。
ヨハネ・マルコの評価の違いによって生じたものです。 パウロは合理的かつ現実的な人物
であり、マルコに対して厳しい態度をとりました。「慰めの子」と呼ばれていたバルナバは
非常に寛大な心の持ち主でありました。ユダヤ教徒から回心したパウロを恐れて、エルサレ
ム教会の聖徒たちが受け入れることをためらっていた時に、バルナバはパウロを弁護し、
彼らの恐れを取り除きました。一度の失態で敗北者のレッテルを貼り、また交わりから排除
したりもせず、バルナバはマルコの良い面を伸ばしてあげたいと、 彼の将来性に期待して
いたのではないでしょうか。

Ⅱ.マルコ離脱の理由
 マルコはどうして伝道旅行の途中で大切な働きを投げ出して、エルサレムに帰ってしまっ
たのでしょうか。その理由としていくつか考えられますが、ここでは一つだけ取り上げます。
その理由として考えられるのはパウロが一行の指導者となり、いとこのバルナバが軽んじ
られているように見え、それを受け入れられなかったためだと、言われています。
聖書はバルナバを「彼は立派な人物で、聖霊と信仰に満ちている人であった」(使徒11:24)
と高く評価しています。 パウロよりも先に救いに導かれ、キリスト者となったバルナバが
どうしてパウロに指導者としての席を譲らなければならなかったのでしょうか。
しかも、バルナバはこのことに関して一切弁明していません。そばで二人の姿を見ていた
マルコがどんなに悔しい思いをしたのかは、手に取るようにわかります。しかし、このこと
は、主の御心なのであります。パウロは、異邦人宣教の指導者として神が選ばれた器なので
あります。そう理解する以外に、その理由を見出すことはできません。

Ⅲ.主の懐の広さの中で
 主はパウロとバルナバが異なった選択をし、異なった相手を選び、異なった道に進んで行
くのをおゆるしになられました。バルナバはマルコを連れて 海路キプロス島に渡って行きま
した。他方、パウロはシラスを選んで、陸路、シリアおよびキリキアを通ってデルベとリス
テラに向かって行きました。
 二人は喧嘩別れしたように見えますが、のちに彼らの友情関係は回復しています。
またマルコもパウロと共に働き、主に豊かに用いられる器として成長していきました。

【 結 論 】
 教会でも考え方の違いにより袂を分かち互いに別行動をとることもあり得ます。
しかし、教理による議論は避け、互いに愛し合う道を選択していただきたいのです。
新しい時代がやってきました。
 困難と共に大いなる希望に期待し、パウロが「主のめぐみにゆだねて」第二回伝道旅行に
旅立ったように。 私たちも「さあ、出発です!」
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