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「岩の上に家を建てる」 井上 慎治 牧師
マタイの福音書 7章24〜29節
山上の垂訓の最後のことばとして、「岩の上に家を建てる人と砂の上に家を建てる人」の譬えが語ら
れています。

聞いて信じる人に対する教え(24-27 節)
 「わたしのこれらのことば」、すなわち山上の垂訓で語 られたイエスの教え、みことばのすべてを
聞いて、それを行うか否かが最終的な結末を左右するという、単純明快な譬えです。聞いて行う人は
岩の上に家を建てる人のようなものであり、その家は洪水が押し寄せても倒れずに建ったままでした。
聞いて行わない人は砂の上に家を建てる人のようなものであり、その家は洪水が押し寄せると跡形も
なく倒れてしまいました。

二者の共通点が三つあります。
 第一に、二人は同じ場所に家を建てています。一方は岩の上、もう一方は砂の上なので、別々の
場所のように思えますが、両者共に雨と洪水と風が直撃しますから、土台が違うだけで同じ場所で
す。つまり、両者共にイエスの教え、神のことばを聞くという、同じ環境に身を置く人々であると
言うことができます。
 第二に、二人は共に同じ願い・目標を持っています。自分の人生の拠点となる、快適で平穏に暮
らせる家を建てることです。これは霊的には、天国や救い、永遠の命を願っているということになる
でしょう。信仰者として相応しい生き方を送ることも望んでいると言えるでしょう。目指すところは
両者ともに正しいのです。
 第三に、二人は同じ苦難に直面します。雨と洪水と風が二人を同じように襲いました。 この「雨」
「洪水」「風」は、私たちが人生において経験するさまざまな困難や苦労を象徴しています。聖書は、
堕落の事実ゆえに、人間には死を含むさまざまなわざわいが起こると語っています。 タイミングや
内容は人それぞれであったとしても、罪人であるがゆえに、苦難のまったく無い人生というものは
ありません。

 こうして見ると、両者はほとんどの点で同じです。では両者を分けたのは何だったのかというと、
それは、岩の上に家を建てたか否か、すなわち、聞いて信じたイエスの教え、神のことばを、行った
かどうか、それらのことばに聞き従ったかどうかです。

信じることは行うこと(28-29 節)
 家を建てる二人の人の譬え話を通して、イエスは、聞 いて信じたみことばを実行する人、みことば
に聞き従う人であれ、と語っています。同じことが、ヤコブの手紙でも語られています(1 章 21-22
節; 2 章 14-17 節)。 砂の上に家を建てる人、聞いたみことばを行わない人は、みことばを知識として
蓄えるだけで満足していま す。聞いたみことばに吟味されること、聞き従うこと、聞き従おうと挑戦
することもありません。それは非常に表面的で中身がなく、みことばをただの教訓や自己啓発の教え
のような「役立つツール」に留めてしまっているとも言えます。このような人は、人生の苦難に直面
し、自分の生き方を問われ、何かしらの選択をしなければならない時に、みことばにではなく、先人
の意見や社会常識というような基準に従うことになります。人間的には妥当と思えるかもしれません
が、みことばに聞き従う道ではないでしょう。聖書のことばを借りるなら、「自分を欺 いている」と
いうことになります。

 ルカの福音書の並行箇所では、岩の上に家を建てた人は「地面を深く掘り下げ、岩の上に土台を据
えて、家を建てた」と言われています。わざわざ地面を丁寧に深く掘り下げて、そして現れた堅い
岩の上に家の土台を据えたのです。聞いたみことばに従う生き方というの は、地面を深く掘り下げ
ていくように、みことばに繰り返し問われ、探られることが必要です。それを通して、自分の課題・
問題が明らかにされていきます。心を洗い出し、人生を変えようとするみことばの力を知ることにな
ります。そうであってこそ、語り給うイエス・キリストを人生の主として信頼し、「イエスがそう言わ
れるのなら」と従うことができるのです。信じることは、行うことです。これら二つを切り離しては
いけません。永遠のいのちに至る信仰とは、必然的に、みことばに聞き従うという行いを 伴うものな
のです。信頼と従順はコインの裏表です。
 
 大切なことは、実の伴った信仰者になることです。 山上の垂訓の一つ一つの戒めに向き合い、そこ
に聞き従うことを実践しようとする中で、頑なな心とみことばとが格闘します。みことばによって砕
かれ心が変えられ、心の貧しい者とされていくときに、私たちは天の父のみこ ころを行う者、イエス
のことばを聞き、実行する者とされるのです。イエスは最後の譬え話を通して、「とにかく、つべこべ
言わずに聞いたことをやってみなさい、そうすれば見えてくるものがある」と、目の前にいた群衆に、
そして時空を超えて今ここにいる私たちに、語りかけています。

 岩の上に家を建てる。聞くだけではなく、行う。そんな実の伴った信仰者を目指していきましょう。

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